チャットボットハッカソンが開催、優勝はラップを楽しむ「BattleMCBot」
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Facebook MessengerやLINEがAPIを公開し始めてから3ヶ月。チャットボットの可能性に関して多くの議論が巻き起こっている。LINEでは、公式アカウントが成功をしているが、対話的という意味ではまだまだだし、ボット関係のニュースはあまり上がってきていない。Facebook Messengerでは、最初から対話式のチャットボットを志向するものが多い印象で、6月末時点で11000ものチャットボットが誕生していると発表された。

そんな中、この7月9日、10日でチャットボットハッカソンが行われた。主催は、人工知能ボットAPIを提供するユーザーローカル社。ユーザーローカルの本郷氏によると、募集人数50人、最終的に299人の応募があり実質倍率は6倍とのことで、非常に盛り上がりを感じたそう。さらに、協賛としてIBMのWatson、協力としてF Venturesが参加していた。

今回のチャットボットハッカソンのルールは下記のとおり。

・実装方法は問わない(ユーザーローカル管理画面、IBM、Watson API・・・)

・LINE、Facebook、Twitter・・・(メッセンジャーアプリ)で動くボット

・優勝賞金10万円、準優勝5万円

チャットボットの未来と現状

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最初に、ユーザーローカル代表の伊藤様より「チャットボットの未来と現状」についてのプレゼンが行われた。そのお話の中では「今年、人工知能が注目されている理由としては、GoogleのピチャイCEOが昨年AIが重要である、モバイルファーストからAIファーストへ向かっていくと発言したとことに加え、AlphaGoが人間に勝利するなど、想像以上に進化しており、複雑なものでも人間以上のパフォーマンスを出すことが出来るようになり、いろんな分野でAIを活躍させられるという期待がある」という。また、現在AIの定義については「機械学習や深層学習を使うものをAIと呼ぶことが多い」とのこと。

そして、チャットボットに関して「LINEやFacebookなどの主要メッセンジャーのAPIが公開され、多くの企業や個人が自由に開発できるようになり、1対多数のコミュニケーションを円滑にできるメリットがある一方で、自然言語処理の問題、対話ルールの登録など、簡単には作れないという課題もあり、まだ実際に作っている人は多くないのでは?」と感じているそうだ。そして、良いチャットボットとは何か?という課題に関しては「まだ明確な答えはないものの、賢い答えを導き出す人の役に立つこと、暇つぶしになるなど話題性・プロモーション効果のある楽しさ、もっと話したいと思えること、という3つのポイントがある」と指摘した。最後に「人工知能はホーキング博士が『人類の終焉を意味する』と警鐘を鳴らしているが、ビジネスの世界では『人の生活をより豊かにしてくれる』と期待の声も上がっている。囲碁AIの進化が想像以上だったように何が起こるかわからないので、深く考えずに、明るい未来をつくることを考えるのがいいのではないか」と締めくくった。

チャットボットアイデアソンの様子

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ハッカソンに先立って、最初は個人で、後に5人ずつのグループとなってアイデアソン(特定のテーマについてグループでアイデアを出し合うこと)が行われた。

・訪日外国人向けの旅行ボット

・健康管理ボット

・車/保険の購入コンシェルジュ

・ググレカスボット(何を聞いてもググレカスしか返ってこない)

・ラップボット

など、8つのチームから数十のアイデアが出された。

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(開発の様子。今回のハッカソンには、女性の参加者も多かった。)

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(発表直前まで、開発・プレゼンの準備が行われた)

合計10個のチャットボットが誕生

今回は、最終的に10チームがこの2日間で完成させたチャットボットを発表した。発表されたチャットボットは下記の通り(発表順)

逆転BOT・・・シナリオゲームのチャットボット。形態素解析のMeCabや機械学習のscikit-learnなどを組み合わせ技術レベルの高いボット

コピーロボットで恋人探し・・・質問に答えることで自分のアバターボットを作成する。アバターボット同士が会話することで、最もフィーリングの合う相手を自動的にマッチングしてくれる。マッチング後は1000円で相手に繋がれるなどサービスとしても考えられていた。

BOT ALONE・・・会話型の脱出ゲーム。閉じ込められている相手に、脱出のヒントを与えていき、脱出に導く。IBM WatsonのDialogを利用。

BattleMCBot・・・ラップを楽しむためのボット。作詞モードとバトルモードがある。作詞モードは、単語を投稿すると韻を踏んだ文章をwikipediaから探してきてくれる。バトルモードでは、ユーザーとボットがお互いにラップを投げ合い、韻を踏んだ回数で勝負が決まる。ユーザーローカルのAPIだけでなく、MeCab、Nokogiri、Rhymer(韻を見つけ出すライブラリ)などをマッシュアップして作られていてる。

アエル・・・「死んだ人に会えるチャットボット」をコンセプトに、Twitterアカウントの会話データから会話の特徴を分析することで、その人に似た対話ができるようになる雑談ボット。

ハットソン・・・多人数向けのスケジュール調整チャットボット。1つのボットで幹事と参加者に分かれて利用でき、スケジュールの調整からその後のキャンセル対応までできる。

メンヘラ彼女のりなちゃん・・・個人のFacebookと連携し個人情報を取得し、まるで自分のことを知っているかのような空想上の彼女ボット。ヤンデレな発言をしてくることが特徴。

TEAM ORANGE5・・・BOT✕健康管理をコンセプトにしたボットで、コンビニ製品の栄養情報を対話型で取得できる。

ちょうど良いボット・・・仕事中に自分の代わりに友だちとの受け答えをしてくれるチャットボット。Twitterを開いて仕事を休憩しているなと判定すると、自動応答中のメッセージを通知してくれる。ブラウザの管理画面でその後のフォローが出来る。管理画面の作り込みがすごかった。

結果にコミットするダイエット応援ボット・・・食材内容からレシピの検索ができるボットで、対話をしながらレシピを決めていくことが出来る。

審査の結果は下記の通り。

【最優秀賞】 BattleMCBot

【優秀賞】 ハットソン

【IBM賞】 コピーロボットで恋人探し

【ツイキャス賞】 ちょうど良いボット

最優秀勝は、実装度の高さ、実用性、プレゼンの面白さが評価されたラップのチャットボット「BattleMCBot」となった。優秀賞は、スケジュールの管理のハットソン。

全体として、ユーザーローカルのツールだけでなく、様々なAPIや技術をマッシュアップしていて、技術的にレベルの高いハッカソンだったと感じた。特に、多くのチームが、2日間で、IBMのWatsonや自然言語処理系の技術を組み込んでいたのが特徴的だった。また、ボットはややもすると個人向けツールとなりがちだが、ハットソンのように多人数によるスケジュール調整をサポートしていて新しいコンセプトも散見された。

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(参加者の記念写真。懇親会も非常に盛り上がっていた)

最後は、ユーザーローカル代表の伊藤様が「チャットボットが誰でも作れるようになったというのは、ブラウザやiモードなどと同じように大きな転換点の1つではないか。ユーザーはコンピューターや企業と最も自然なかたちでやりとりをすることが出来る。今後はボットに関するベンチャーなどもどんどん出てくるだろう。」と今後の可能性を語り、締めくくられた。

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