(書き起こし)各社出そろったBOTの世界とこれからの未来
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2016年6月9日に行われたBot Meetup Japanにて行われたIncrements株式会社・田中洋一郎様による「各社出そろったBOTの世界とこれからの未来」と題したスピーチ。チャットボットのプラットフォームを開発した経験から、全体像とボット開発の意義、そして未来を語りました。

★本スピーチのスライドはこちら★

最近、Increments株式会社に転職しました、田中洋一郎と申します。元々、ちょっと前までLINEでBOTの仕組みを作っていました。が、もうLINEの人間ではないので、何言っても反映されません。遠慮なく言って下さい。

 今日はトップバッターとして、タイトル通りなのですが、「BOTの仕組みがやっと出そろってきたかな」と個人的に思っているので、BOTの世界を少し紹介して、未来の話も後半でしてみたいなという風に思っています。

メッセンジャーアプリは当たり前の時代

 まず、現状からいきましょう。LINEを使っている方、どれくらいいます?すげえ…手が挙がらない人もいるのですね。Facebook Messenger使っている方は?Hangouts、WeChat、カカオトーク、(少し手を挙げる人がいて)あ、いるんだ。

 みなさん、すでに何らかのメッセンジャーアプリ使っていますね。日々、友達ですとか、知り合いですとか、家族ですとか、そういう身近な人とコミュニケーションをスマートフォンでとるというのは、当たり前の時代になりました。メッセンジャーアプリを作っている各社が何を考えているのかというと、ユーザー間のコミュニケーションというのは当たり前ですが、マネタイズをしたいと考えたときに、やはり企業の人に参画してもらって、市場を作ってもらうというところが重要になります。

オフィシャルアカウントとBOTの仕組み

 ほとんどのメッセンジャーアプリが持っている機能として、オフィシャルアカウントというものがあります。今まではFacebookやTwitterにアカウントを作って、消費者、将来商品を買ってもらうであろう人に対して、色々とメッセージを送っていたと思います。今ではメッセンジャーアプリの中に、オフィシャルアカウントを作って、多くのユーザーに企業からの情報、新商品の情報などを発信するということが行われるようになりました。

 ただ、ここでの特徴は、ユーザーからのフィードバックが、あまりにも人数が多すぎるので、ほぼ受け付けられないのです。そのため、オフィシャルアカウントからユーザーへの一方通行の情報発信というのが、今も主流かと思います。

 ここで登場してくるのがBOTの仕組みです。一方通行だけでなくて、ユーザーからの声を聞いたり、あるいはチャットのUIを使って、企業が持っているサービス、例えば、事例でいうと、ヤマト運輸さんであれば、荷物の不在者通知がポストに入るのではなくて、メッセージできますよとか。あとはピザが注文できたりとか。僕はピザ嫌いなので注文しないのですが、そういったことができる世界が実現しつつあります。

究極の目標と、自然言語処理、AIエンジンの活用

 特徴的なところとしては、チャットのUIになります。そこでは、ユーザーからすると会話相手が人間なのか、あるいは企業の中の人なのか、はたまたBOTという名のプログラムなのか、というのがまったく違いがわからないという状態で、ユーザーがオフィシャルアカウント、BOTをサポートしたオフィシャルアカウントを使えるというのが究極の目標になるのかなというふうに思います。

 それを実現するためには、自然言語処理が不可欠になります。あとは、会話の内容から、最適な返信とはなんだろうというのを組み立てていかなくてはいけません。それは、何が最適かというのは、膨大な情報、膨大な会話量から、求めて、作っていかなくてはいけない。しかも、リアルタイムで。そうなってくると、やはり後ろ側が重要になりますが、いちから作っていたら追いつきません。なので、今だとTensorFlowとか、IBMのWatsonですとか、そういったものに興味を持っていじり始めた人が増えているのかなというふうに思います。

 ただ、このAIエンジンと言うのですかね使った経験のある方いると思うのですけれど、難しいと思うのです。なので、Facebookは、Messengerプラットフォームの裏にwit.ai、Microsoftであれば、Bot Frameworkの裏にCortanaを置いて、人工知能を使ったBOTを作りやすくしましょうという環境を出してきました。

 では、Googleはどうしているのかというのは、僕もここ数年興味があったのですけれども、この前のGoogle I/Oで発表されました。Alloというメッセンジャーアプリですね。これは他のメッセンジャーアプリとはちょっとアプローチが違いました。何かというと、ユーザー間の会話の中で、会話を常に、AIが見張っているという感じです。会話の中でこの人がこう言ったら、次の返事はこう言うだろうという選択肢を最大3つ、機械学習の結果から求めてきて、ユーザーに、これとこれとこれのどれかじゃない?というのを提示します。あとは、ポチポチ押すだけで、会話が進むというようなものを出してきました。

 さらに、@googleという特別なアカウントがデモの中であって、その裏にOpenTableというサービスが潜んでいて、ユーザーAとユーザーBの会話の中で、あ、イタリアンレストランを近くで探しているなというコンテキストをGoogleアシスタント、つまりAIがもうわかって、先回りして、近くにこんなイタリアンレストランがあるよとサジェストするという環境が整いつつあるようです。

 ただ、Alloはまだ発表されたばかりで、多くのことが謎なので、僕らはどういうふうにBOTを作っていけるのか、あるいはBOTという形で拡張できるのか、ちょっとまだわからないのですけれども、将来が楽しみです。ここまでが現状だと思います。

なぜBOTに取り組んでいるのですか?

 では、みなさん、ここから未来を考えていきましょう。みなさん、なぜ今BOTに取り組んでいるのですか?いきなり難しい質問をしましたけれども、メッセンジャーアプリが世界で流行っているからですか?このデータは日本国内のデータですが、ソーシャルメディアが流行ってきていて、LINEが一番流行っているねということで、BOTプラットフォームが出たので、そこのマーケットでみなさん儲けようと考えているのですか?

 実は、僕がLINEでBOTプラットフォームを作ったときのモチベーションはどちらでもありません。コンピューターの進化って、ハードウェアの進化だと思うのですね。スタンドアローンのPCが出て、インターネットが出て、みなさんガラケー持っていましたね。今はスマートフォンに買い替えていると思います。では、この流れに従って、流行っていたサービスというのが何か、と並べてみると、スタンドアローンPCのときは電話回線でパソコン通信をやっていました。インターネットが出て、PCからフィーチャーフォンに流れたという中では、Mixiとか、Myspaceとか、いわゆるSNSが流行りました。スマートフォンになってどうなったかというと、SNSが廃れてしまったわけではないですけれども、メッセンジャーアプリが大流行りしています。これが現状です。

BOTは音声の世界でも生きる

 では、次、何がくると思いますか?わからないですよね。僕はBOTの世界を考えたときに、メッセンジャーが真ん中にいて、ユーザーがテキストを打って、それは自然に話している言葉を打って、その結果が、いろいろ解釈されて、また言葉として返ってくる、こういう世界を考えたのですが、実は、この赤い部分、スピーカーとマイクに置き換えたらどうなります?実は、まったく同じことができると思いません?

 つまり、次のハードウェアの進化とはなんだろうと言ったときに、僕は音声だと思っていました。今でも思っています。例えば、スマートウォッチですとか、Amazon Echoですとか、この前発表された、芳香剤じゃないですよ、Google Home、こういったものって、音声で話かけると、その答えを音声で返してくれるのです。

 こういったデバイスが出てきたときに、これから僕たちが作るBOT、ちゃんと自然言語処理をしてあげて、会話が成り立つBOTというのは、実は、次のボイスが中心になったデバイスに置き換わった時に、そのまま生きてくるはずなのです。

 これは、昔流行っていたゲームなのですけれど、僕が中学校のときに流行っていたハレー彗星にモンスターがいて、そのモンスターを退治するときに、主人公が最初に人工知能付のレシーバーをもらうのですね。このレシーバーが、宇宙船の中のいろいろな状況を全部集約して、そのコンテキストに応じて、主人公に質問を投げていくのです。その質問に答えたら、モンスターの弱点がわかる。昔のエキスパートシステムとか、AIと言われていたものに近いのですけれども。『こういったものが本当に実現されるのではないかな。実現したいな。よし、BOTの仕組みを作ろう』と思って、LINEで作っていました。

 こうして、みなさんBOTを作っていくときにQiita、Qiita:Team、すごく便利に使ってください。という宣伝はともかく。

スマートフォンの次を考えてもいいときが来ている

 スマートフォンは今大流行りしていますけれども、もう僕らはその次を考えて良いのではないかなと思っています。その片鱗というのが、Amazon Echoですとか、Google Homeですとか、そういうところから見え隠れしてきたと思っています。ただ、今BOTに取り組むということは、そういう次のデバイスが出てきたときに備えて、すでにみなさん、そういった次のデバイスで動くアプリケーションを作り始めているかもしれない。むしろ、みなさんがそういった市場を作っていってほしいと思って、BOTの世界ってすばらしいなと、これからどんどん素晴らしくなっていくのではないかなというふうに考えています。

 このあとすごくたくさんのセッションがあるのですけれども、みなさんでBOTの方向性をこの場で決めていけたら素晴らしいことではないかなというふうに思っています。ありがとうございました。

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